- 介護保険制度ってなに?
- 介護保険で何ができるの?
- どんな仕組みで成り立ってるの?
- どうすれば使えるの?
この記事ではこれらの疑問を私なりに分かりやすくまとめていきます。
そもそも介護保険ってなに?
「高齢者の介護を社会全体で支えあう仕組み」として設立
・1997年に介護保険法成立し、2000年に施行
介護保険の基本的な考え方はこれらの3つです
①自立支援:身の回りの世話だけでなく、高齢者の自立を支援するという理念
②利用者本位:利用者の選択により、多様なサービスを総合的に受けられる制度
③社会保険方式:給付と負担が明確な社会保険方式を採用
介護保険の仕組み
介護保険の仕組みを図にしてみました。
被保険者(利用者や患者側)には2つの区分があり、「第1号被保険者」と「第2号被保険者」に分かれています。
・第1号被保険者は65歳以上の者
・第2号被保険者は40歳~64歳までの者
となります。
第2号被保険者の方は制度に定められている特定疾病を患っていると、介護申請をすることができます。
特定疾病は加齢に伴い発症する可能性の高い疾患が定められており、全部で16種類あります。
介護保険利用の流れ
申請からサービス選択までの流れを簡単に図にまとめました
申請をしてから要介護認定を受けるまでの時間は原則30日以内とされており、介護認定を受けたらサービスの利用を開始することができます。
サービスを利用する際はケアマネージャーと相談し、どのサービスがどのくらいの頻度で必要なのかを決めることができます。
※基本的にサービスの利用は要介護認定を受けてから開始になりますが、すぐにでもサービスが必要な場合などは例外として要介護認定を受ける前にサービス利用を開始することができます。
その場合は要介護申請を行う際に地域包括支援センターへ相談が必要です。
要介護認定の流れ
①まず市町村の認定調査員による心身の状況調査及び主治医意見書に基づくコンピューター判定を行います(一次判定)
②次に介護認定審査会により、一次判定結果及び主治医意見書に基づいた審査判定を行います(二次判定)
③この結果に基づき、市町村が申請者に介護認定を行います
介護保険とは(PDF)l厚生労働省ホームページ より引用https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html
介護保険で受けられるサービス
介護保険で受けられるサービスは大きく分けて7つあります
①居宅介護サービス
②地域密着型サービス
③居宅介護支援
④施設サービス
⑤介護予防サービス
⑥地域密着型介護予防サービス
⑦介護予防支援
また、要支援1~2で受けられるサービスを「予防給付」、
要介護1~5で受けられるサービスを「介護給付」といいます。
介護給付と予防給付で分けてサービス一覧を現した図を厚生労働省が作成しています。
介護保険とは(PDF)l厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html より引用
居宅介護サービスについて
居宅介護サービスには、
①訪問サービス
②通所サービス
③短期入所サービス
の3種類があります。
①訪問サービスとは
スタッフが利用者の自宅へ出向き、自宅内で介護や支援を行うサービスです。
・訪問介護(ホームヘルプ)
-食事や排泄の介助を行う「身体介助」
-買い物代行や家事先般のサポートを行う「生活援助」
・訪問入浴介護
-入浴専用車両が浴槽を持参して自宅を訪問し、入浴介助を実施する
・訪問看護
-医療行為や人工呼吸器管理など、医療サービスが受けられる
・訪問リハビリテーション
-理学療法士や作業療法士が利用者宅を訪問してリハビリを実施
・居宅療養管理指導
-医師や看護師が定期的に利用者宅を訪問し、療養上の管理や指導を実施
②通所サービスとは
利用者が介護・支援施設に出向き、サービスを受ける仕組み
通所サービスには2種類あり、
利用目的によって「通所介護」か「通所リハビリテーション」を選択します。
また、
通所介護を「デイサービス」
通所リハを「デイケア」
といいます。
※通所リハビリ(デイケア)は医師によってリハビリが必要であると判断された者だけが利用することができます。
デイサービスとデイケア違いを表にまとめました。
デイサービスと比較してデイケアは専門スタッフがリハビリを実施できるため、機能回復にも重きを置いています。
③短期入所サービス(ショートステイ)とは
短期入所サービスは介護施設に短期宿泊できるサービスのことです。
短期入所サービスには以下の二つがあります
・短期入所生活介護
-数日から2週間ほど入所施設で過ごす
-食事や入浴介助など、日常生活の支援やリハビリを受けられる
・短期入所療養介護
-介護老人保健施設や病院で過ごす
-短期入所生活介護のサービスに加えて、医師や看護師による医療サービスを受けることができる。
施設入所サービスについて
入所施設サービスには大きく分けて3種類あります。
①介護保険施設
②特定施設入居者生活介護
③地域密着型
3つそれぞれに含まれる詳細施設を表にしてあります。
・介護保険施設について
介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰と在宅療養支援を行うための施設で、
原則65歳以上で要介護認定1以上の認定を受けている者が対象です。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、24時間の介護を目的とした施設で、
要介護3以上を入所条件とし、看取りにも対応しています。
介護医療院は要介護者の長期療養と生活支援を目的とした施設です。
入居条件は老健と同じで、65歳以上で要介護認定1以上の認定を受けている者が対象です。
・特定施設入居者生活介護について
サービスを提供する施設が都道府県が定める「運営基準」「人員配置基準」「設備基準」を満たすことで、特定施設入居者生活介護の指定を受けられます。
そこで指定を受けていない施設は、
「住宅型有料老人ホーム」「観光型有料老人ホーム」に分類されます。
指定を受けている施設では、介護サービス費は毎月定額になります。
※介護サービス費は介護度によって区分されており、
要支援1では毎月の自己負担額は5032円で、要介護5では2万4533円になっています。
貸与福祉用具について
要支援・要介護認定を受けると介護に必要な福祉用具をレンタルすることができます。
レンタルできる福祉用具の種類は指定された13種類で、要介護2以上でないと貸与できない用具も多くあります。
株式会社サンライフHPhttp://sunlife.chiharuya.com/rental.html より引用
特定福祉用具購入について
特定福祉用具購入とは、
衛生面などからレンタルに適さない福祉用具について、購入の際に介護保険の適応を受けられるサービスです。
対象の福祉用具は下記のようなものがあります。
①腰掛便座
②自動排泄処理装置の交換可能部品
③入浴補助用具
④簡易浴槽
⑤移動用リフトの釣り具部分
⑥ポータブルトイレ
住宅改修について
住宅改修サービスは、要介護者の自宅でバリアフリー改修を行う場合、20万円を限度に工事費用の7~9割が給付されるサービスです。
費用は「償還払い」が一般的です。
※償還払い:まず施工業社に費用を支払い、その後役所に申し出て給付を受け取る方式
介護リフォームの内容と条件を表にまとめました。
訪問リハビリについて
訪問リハビリは利用者または患者の自宅にリハビリ専門スタッフ(PT・OT・ST)が出向いて、自宅内でリハビリを実施するサービスです。
訪問リハビリは医療保険と介護保険の両方でサービスを受けることが可能ですが、併用はできません。
そのため、要介護認定を受けている者は介護保険の利用が優先される決まりがあります。
訪問リハビリでは、身体機能訓練、日常生活に直結した訓練、社会適応練習、家族の支援などが主なサービスとなり、
医師の指示のもと実施するため、3か月に1回計画書が必要です。
介護保険での訪問リハビリの対象者は要介護1~5の者になりますが、
要支援の者は介護予防訪問リハビリサービスを利用できます。
また、通院可能な方の場合は通院リハビリが優先されます。
ただし、通所リハ(デイケア)だけでは自立した在宅生活が難しい環境であれば、訪問リハビリステーションのみ、または併用が可能です。
利用可能回数は1週間に6単位まで(1単位20分)となっています。
医療保険での訪問リハビリは要介護認定とならない者や、急性増悪時の利用が対象となります。
原則利用は6単位/週ですが、例外として末期がんは無制限、急性増悪時は4単位/日の利用が可能です。
まとめ
今回の記事では介護保険についてまとめてみました。
入院中にリハビリをがんばって自宅に帰る方も、介護保険を利用してサービスを受けることで自宅での生活がより安全に行えるようになります。
リハビリ専門職として患者さんの生活をより豊かにしていくために、介護保険の知識は必須だと思うので、今後も有効利用できるように最新の情報をインプットしていきましょう。
本記事を作成するにあたって参考にさせていただいたサイトを載せておきます。
参考:厚生労働省HP
参考:みんなの介護
参考:ハートページナビ
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