リハビリ職が血液データを診る意味
今回はリハビリ職が確認するべき血液データについてまとめました。
リハ介入時の評価において、視診や触診はとても重要ですが、同時にカルテから血液データの確認ができればさらに患者さんの状態を正確に把握することが可能です。
例えば観血的手術後の介入時にめまいや悪心が現れたとき、事前にHb(ヘモグロビン)の値が低いことを確認できていれば、負荷量を軽めに設定して安全にリハビリが可能になります。
あるいは下肢の浮腫が強い患者さんの血液データで、Alb(アルブミン)やBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)の値を確認していれば、下肢の浮腫が低アルブミン血症によるものである可能性や、心不全増悪によるものである可能性を考慮できます。
このように、特に急性期ではリハビリ介入時に血液データを把握しておくことで、介入時の適切な負荷量の設定やリスク管理の質が向上します。
最低限見るべき項目
WBC(白血球数)
:血液中の白血球数を表す。
:炎症が起きてから早期の段階で上昇がみられる。
:炎症が強すぎると逆に減ることもある。
:基準値 4,000~9,000個/mm
CRP(C反応性タンパク)
:炎症や感染を表す
:炎症が起きてから1~2日で上昇がみられる
:肝障害やステロイド使用患者の場合は上昇が少ない場合がある
:基準値 10.0mg/L以下
Hb(ヘモグロビン)
:血液中のヘモグロビン量を表す
:減少すると貧血を起こす
:基準値 男性14~18g/dL 女性12~16g/dL
TP(総タンパク)
:血漿中タンパク質の総量を表す
:栄養状態や全身機能の状態がわかる
:肝機能や腎機能の働きがわかる
;腎障害の場合→タンパク質が余計に排出されている
;肝障害の場合→タンパク質が合成できていない
:高い場合は脱水や炎症、感染などの疑いもある
:基準値 6.5~8.0g/dL
Na(ナトリウム)、Ka(カリウム)
:電解質
:水分摂取量や腎機能などによって変化する
:Na高値→口喝、痙攣、嘔吐など
:Na低値→倦怠感や意識障害
:K高値→心電図異常波形
:K低値→筋力低下や痙攣に注意
:基準値 Na137~147mEq/L K3.5~5.0mEq/L
BUN(尿素窒素)
:血液中の尿素窒素を表す
:腎機能が低下する上昇する
:基準値 7-20mg/dL
Cre
:クレアチンリン酸の代謝産物
:腎臓でろ過されるため、腎機能低下で上昇
:脱水の基準にもなる(脱水で腎機能低下する)
:基準値 男性0.74~1.35mg/dL 女性0.59~1.04mg/dL
加えてみるべき項目
D-ダイマー
:血栓中のフィブリンが融解して産生される物質
:血栓形成の指標になる
:術後は上昇しやすい
:基準値 1.0μg/mL
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)
:心負荷が増えると上昇
:心不全の指標となる
:心不全患者は常に上昇している場合が多い
:BNPの急激な上昇は心不全を疑う
:基準値 18.4pg/mL未満
・BS(血糖値)
:BSを確認して低血糖リスクを回避
:250mg/dL以上ではケトアシドーシスに注意
:基準値 70~110mg/dL
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